こんにちは、まさみです。
先日オルトレさんのリアブレーキが効かないという問題が発生しました。
私は今までディスクブレーキゴリ押しでしたし、今でもディスクブレーキは最高だと思っています。
それは全く変わりませんが、今回の問題をきっかけに、今まであまり気にしてこなかったディスクブレーキの注意点が見えてきました。
特に注意したいのが「ベーパーロック現象」です。
今回は、ベーパーロック現象とは何か、どういった点に注意すればいいのかをまとめていきます。
ちなみに、今回の記事におけるディスクブレーキは全て「油圧式ディスクブレーキ」を前提としています。
油圧式ディスクブレーキの仕組み
ベーパーロック現象について理解するには、ディスクブレーキの仕組みを理解する必要があります。
油圧式ディスクブレーキは、ブラケット部分にあるシリンダーから、ブレーキキャリパーまでのブレーキホース内部にブレーキフルイド(オイル)が充填されています。
ブレーキレバーを握ると、シリンダーからオイルが押し出され、その圧力を使ってブレーキキャリパー内のシリンダーがパッドを押し出し、パッドがローターを挟むことでブレーキをかける仕組みです。
ディスクブレーキの構造については、以前YouTubeの動画でもお話ししておりますので、よろしければそちらもご覧下さい😊
ベーパーロックとは?
ベーパーロック現象とは、油圧式ディスクブレーキに使われるブレーキフルイドが摩擦熱により沸騰することで、オイル内に気泡が発生し、ブレーキが効かなくなる現象です。
気泡というのは、空気でできていますが、空気には力を吸収してしまうという性質があります。
そのため、オイル内に気泡ができてしまうと、ブレーキをかけるのに必要な圧力がかからなくなってしまい、ブレーキが効かなくなってしまうのです。
ベーパーロックの原因、ブレーキフルイドの沸騰はなぜ起こる?
ブレーキのかけすぎ
ブレーキフルイドはオイルなので、水よりも沸点が高く、物にもよるかもしれませんが約200°であるため、簡単には沸騰しません。
車の場合は、長いダウンヒルなどでブレーキをかけ続けることにより、摩擦熱が発生し、結果としてブレーキフルイドの沸騰が起こることがあります。
日光いろは坂などに行くと、坂を下った辺りに砂で出来た待避所を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ブレーキがベーパーロックで効かなくなった場合は、あの待避所に乗り上げることで車のスピードを殺して停車させるわけですね。
自転車のディスクブレーキでオイルが沸騰するほどの摩擦熱が発生することは考えにくいですが、車と同様にブレーキを長時間に渡り強く握ったまま(ロングダウンヒルなど)の状態だと発生することがないとも言い切れません。
ブレーキフルイドの劣化
自転車のディスクブレーキでブレーキフルイドの沸騰が起こることは稀だと考えられますが、ブレーキフルイドには吸湿性があり、オイルが劣化すると水分を取り込みやすくなります。
走行中と停車時の温度差、大気中の湿度を取り込むことなどによって、オイル内に水分が吸収されることがあるのです。
水分を吸収したブレーキフルイドは沸点が下がってしまい、通常よりも沸騰しやすくなってしまいます。
古いオイルを使い続けていると、ベーパーロックが発生しやすくなる可能性がありますね。
ベーパーロック以外でも気泡が入るとブレーキが効かなくなる
ベーパーロックは摩擦熱によるブレーキフルイドの沸騰によって気泡ができ、ブレーキが効かなくなる現象でした。
しかし、これ以外にも整備時にブレーキフルイド内に空気が入り込み、気泡になって残ってしまうことで、似たような現象が発生することがあります。
通常ブレーキ整備の際には、ホース内のエアを抜く「エア抜き」という作業が実施されます。
これにより、ほとんどのエア=気泡は取り除かれますが、完全に取り切るのは難しいらしく、小さい泡が残ってしまうことがあるようなのです。
この場合も、残ってしまった気泡が原因で、ベーパーロックと似たような現象が発生することがあります。
こちらは「エア噛み」と呼ばれますね。
ベーパーロックを防ぐには
ブレーキの制動力が高いのが魅力のディスクブレーキですが、ベーパーロックやエア噛みが起こってブレーキが効かなくなってしまっては本末転倒ですね。
そんな恐ろしいベーパーロック現象ですが、ちょっとしたことを心がけるだけで予防することができます。
- ブレーキを5秒程度の間隔で1秒程度放す
- メーカー推奨のブレーキフルイド交換時期を守って定期的に交換する
- ブレーキの調子が少しでもおかしいと思ったらプロに点検を依頼する
まとめ
ロードバイクは生身の体でスピードを出して走ることができる乗り物です。
その爽快感は何物にも変え難いものがありますが、それだけにブレーキは非常に重要です。
ブレーキ操作を気をつけることはもちろん、少しでもおかしいなと思ったら、すぐにプロに点検を依頼することをお勧めします。
しっかりとメンテナンスして、自転車ライフを楽しんでいきましょう!